子ども用折りたたみ椅子 1

子ども用折りたたみ椅子 1

私の50年来の友人が川崎の梶ヶ谷で「Gプラス」という名前のオフィスでプロダクトデザインのコンサルタントをしています。Gプラスさんは近隣の子どもたちに向けてオフィスの空きスペースを利用した「梶ヶ谷工作倶楽部」という場を開放してしています。ここでは子どもたちだけではなく、大人の方もちょっとした工作に利用しています。

Gプラスさんは昨年、近くに住むお母さんからお子さんの机と椅子を作り、3歳の誕生日にプレゼントしたいという話を受けました。ご要望では机も椅子も折りたためるようしたいということ。彼が机を私が椅子を設計することになりました。折りたたんだ机の空間に折りたたんだ椅子を収納するという計画です。

机と椅子はGプラスさんとお母さんの手で完成しました。

ただ、私が設計したものを私自身が作っていないのは何か変だなと思い、自分でも作ってみることにしました。最初の設計だと折りたたまれた状態から椅子を展開するときに座面がバタンと落ちることがあったり、後脚が開きすぎたりという不都合があったのでその問題の解決を含めて再設計しています。

日曜大工の範囲で作られるように考えてあります。

DIYショップでパイン集成材を購入して切断してもらったものです。

商品名はニュージーランドパインと言い、ラジアタパイン材を貼り合わせてあるのですが、通常の集成材と違って板目の縦方向には継ぎ目がありません。すっきり見えるので好んで使っています。パイン材は柔らかく加工しやすいので日曜大工には適していると思います。欠点は傷つきやすいこと。木端(コバ)の角に固いものが当たるとすぐに凹んでしまいます。比重は軽く、0.5ぐらいです。

私はできる限り、DIYショップで切断してもらうことにしています。というのも自分で切ると正確に直線にならないとか、切断面が直角にならなかったり、同じ寸法で切らなければならないところが少しづつ違ってきたりするからです。そして何より楽だからです。

DIYショップのノコギリはパネルソーと呼ばれる機械が多く、板の途中まで切るということができませんし、3 〜4mmのキリシロが必要なのでその事を考えて木取り図を作る必要があります。又、同じ寸法が必要な部材は連続してカットできるように考える必要もあります。

使う電動工具は電動ドリルとボール盤です。

写真は前脚と後脚です。それぞれの板2枚を両面テープで貼り合わせ、穴の位置がずれないようにしてボール盤で穴を空けています。貫通させない穴は慎重に位置を測って空けています。
両端の丸い部分は穴空けした後で鋸でざっと切り落としています。

木端の穴は組み立てた後ビス留めするのですが、ビスの頭が見えないようにするダボ穴です。椅子を展開したときに下側になる木端からビス留めした方が目立たなくていいのですが、万一、座っている時に壊れるとビスの先端が上向きになってしまいます。なるべく危険を避けるようビスの先端が身体の方に向かない方向から留めるようにしています。

写真は両端を鋸でザックリ落とした状態。カクカクしています。

全ての木端を半円の断面で丸めることにしているので、まずは角を斜めに落とします。八角形の半分の形にした後、エッジを少し削り、大雑把に16角形の半分の形にします。このあたりは目分量で工作しています。

円形に近くなったらペーバーをかけて丸くしていきます。ペーパーは荒いほうから80番、120番、180番、240番をかけています。

写真は両端の加工です。右側が八角形の半分に加工した状態で、左側がペーパーがけが終わった状態です。

後脚が細くなる部分です。右側の右側は直線部分の面取りが終わった状態、右側の左側は凹面の面取りをした状態です。左側がペーパーがけが重割ったもの。

面取り作業には替え刃式のミニカンナを使っています。

 

写真の道具はペーパーがけに使うもので、自分で作りました。2枚の板を直角に貼り合わせ、14mm厚の板の木端を45度に鋸で切って貼り合わせ、丸く窪ませるようにペーパーがけしています。それに幅広のマジックテープを接着してマジックテープ式のペーパーを貼り付けて作業します。

凹面やカンナが使えない場所は木工用の鉄ヤスリと金工用の鉄ヤスリを併用し、ペーパーは指の腹や丸棒に巻いて使います。