このサイトの写真は通常、AffinityPhotoでアンシャープマスクを施しシャープになるようにしています。今回は弱めにしてありますが、アンシャープマスクをかけた写真も含まれます。アンシャープマスクの強弱は写真により異なっています。グラデーションにはアンシャープマスクをかけていませんが、テストしたデータより解像度を低くしてあり、圧縮率も高いのでテストデータと同じではありません。
アプリでの階調編集
Wordでの階調編集、Windowsフォトアプリでの階調編集、iOS写真アプリでの階調編集について簡単に説明します。
Wordでの階調編集
Wordでの階調調整は|図ツール > 書式 > 修正|を選択します。
明るさとコントラストの組み合わせの中から適したものを選択します。
Wordでの階調調整項目は
- 明るさ
- コントラスト
の2種類の組み合わせしかありません。
挿入した写真はグラデーションの画像です。
Windowsフォトアプリでの階調編集
Windows「フォト」アプリを使う場合は写真を「フォト」アプリで開きます。グラデーションの画像を開いています。
「編集と作成」をクリックして「編集」を選択します。
画面が変わり、「トリミングと回転」が初期画面になっています。「調整」を選択します。
「> ライト」をクリックすると詳細な調整ができるようになります。
編集項目は
- ライト
- コントラスト
- 露出
- ハイライト
- 影
となっていてWordより調整項目が多いです。ライトを含めた5つの項目を個別に調整できます。
iOS写真アプリでの階調編集
iOS「写真」アプリの場合は写真を選択し、「編集」をクリックします。
グラデーションの画像を編集しています。
下の方に並んでいる4つのアイコンから右から2番目のアイコンをクリックします。
「ライト」項目が表示され、ライトの中に表示されているバーをスライドさせることで調整できます。
オプションを表示するには調整バーの右上のアイコンをクリックします。
- ライト
- ブリリアンス
- 露出
- ハイライト
- シャドウ
- 明るさ
- コントラスト
- ブラックポイント
とさらに調整項目が多くなっています。
それぞれの調整項目をクリックすると編集画面の調整バーが「ライト ブリリアンス」のように表示され、ブリリアンスを調整できるようになります。
編集項目の名称と調整内容
同じ名前の項目もありますし、影、シャドウのように似たような名前もあります。「写真」アプリでは露出と明るさが別々にあります。それぞれの項目がどのように働くのか調べてみました。
黒から白まで、黒の量で100%から0%まで10%刻みで11段階のグラデーションを作り、それぞれの項目のスライダーを左右一杯に調整をかけたものを書き出して黒の量を計測するという方法です。グラデーションの1マスの中は圴一な黒の量になっています。Affinity Photo というソフトでグラデーションを作りました。調整後の計測もこのソフトで行なっています。
露出(Word明るさ)
Wordでは「明るさ」と表記されていますが、調整内容は「露出」と同じです。
明るくしていくと明るい側が飛んでいきます。暗い側も明るくなっていきますが、黒が明るくなることはありません。
iOSの「Googleフォト」アプリの「露出」では目視ですが、黒もグレーになり、明るいグレーが白く飛ぶこともありませんでした。
暗くしていくと全体が暗くなりますが、白もグレーになります。
Windowsフォトの調整幅が大きくなっています。
大きく調整するとグレーが白く飛んだり、白がグレーになったりと階調を崩してしまうので調整幅は少なめにしておく必要があります。
コントラスト
コントラストは白と黒はそのままに中間の階調差を小さくするか大きくします。
光が強くて被写体のコントラストが大きい場合はコントラストを弱くします。光が少なく眠い写真の場合はコントラストを強くしますが、白と黒も不足していることが多いので他の項目と組み合わせて調整することが多くなります。
ライト(iOS明るさ)
WindowsフォトのライトとiOS写真の明るさは中間の階調を明るめにしたり、暗めにしたりする機能を持っています。iOSの調整幅が大きくなっています。
一方、iOS写真のライトは名称はWindowsフォトと同じですが、異なった機能になっています。明るい方向に動かしても暗い方向に動かしても白の部分がグレーになっています。iOSのライトについては後ほど説明します。
ハイライト
ハイライトは中間より明るい階調をより明るくするか暗くするかという機能です。
Windowsフォトの調整幅が大きくなっています。
iOSでは白もグレーになっています。
目視ですがiOSのGoogleフォトの露出を暗くした状態に似ています。
影・シャドウ(iOSブラックポイント )
影・シャドウは中間より暗い階調を明るくするか、暗くするかという機能です。
暗くする調整幅はどちらのOSでも似ています。というかオリジナルと比べてもあまり暗くはしていません。iOSのブラックポイント も同じような傾向です。
明るくする調整幅はiOSの調整幅が大きく、中間より明るい階調にも影響しています。また、ブラックポイントは他とは異なる調整になっていて、黒もグレーにしています。目視ですがiOSのGoogleフォトの露出を明るくした状態に似ています。
ブリリアンス
iOSのライトとブリリアンスです。
ブリリアンスは白と黒はそのままに中間のグレーを変化させますが、明るくするとオリジナルの40%のあたりから暗い方は明るくなり、それより明るい方は暗くなっています。
暗くすると30%のあたりから暗い方はさらに暗くなり、明るい方はより明るくなります。
一方、ライトは黒はそのままですが、明るくしても暗くしても白は程度の差こそあれグレーになっています。不思議な変化になっています。
iOSのライトとは
iOSのライトという項目自体は調整機能は持たず、オプションのそれぞれを統括し組み合わせて階調を変化させるもののようなのです。
試しにライトを明るい方に振ってオプションを表示してみるとそれぞれの項目の値が変化しています。
iPhoneの画面は小さいのでMacの写真アプリで試してみます。Macの写真アプリではトーンカーブやビネット、シャープネスなど調整できる項目が多いのですが、ライトのオプションは同じになっています。
キャプチャはライトのスライダーを動かしていない状態です。オプション項目も動いていません。
オプションを表示させながらライトのスライダーを動かしてみます。
ライトのスライダーを右に動かすとオプション項目も同時に動きます。特に大きく動くのがブリリアンスです。あとはわずかづつですが全ての項目が動きます。
iOSの「Googleフォト」アプリの「明るさ」という項目のスライダーを動かすと露出など他の項目も変化します。「写真」アプリのライトと同じような機能のようです。
この辺りはスマホアプリの方が進んでいるような気がします。
ブリリアンスとは
ブリリアンスとはどのような機能なのか詳しく調べてみました。驚いたことにブリリアンスそのものに様々な機能が含まれていました。
基本は白と黒はそのままに中間調のレベル補正ですが、中間調を明るくするとより明るい側を暗めにし、中間調を暗くするとより明るい側を明るめにするといったコントラスト機能があります。
中間調を明るくしていくと白い部分が飛ぶことはないのですが、明るい側の階調差が少なくなりディテールが表現されにくくなります。そこで明るい側は少し暗めにしてディテールを際立たせるためにシャープネスをかけているのです。これは明瞭度と呼ばれるディテールのコントラスト機能と同じです。
テストデータのように四角のマス目を一律に塗りつぶしたグラデーションの場合、人の目は暗いマスと明るいマスの境目辺りは明暗差が大きくなるような錯覚を起こします。意図的に明暗差を強調するように階調を調整してディテールを強調するのが明瞭度です。
元々、階調の調整は同じ色なら一定の値に変化させるもので20%のグレーが15%になったり、25%なったりするだけで1マスの中で階調が変わることがないのですが、ブリリアンスは一様のグレーでも階調に変化をつける明瞭度の機能があります。
階調差が少なくなる方向に振る場合は隣が少し暗ければ、少し明るくして境界線を際立たせます。
階調差が大きくなるような場合は隣が暗ければ少し暗めに、隣が明るければ少し明るめにして全体の階調が滑らかにつながるような動きです。
正確には計測できませんでしたが、正比例で変化させるのではなく変化の度合いがカーブを持つような変化です。
グラフのグレーの線はオリジナルの階調を表しています。赤い線はブリリアンスを最大にした時のグラフになります。
このような機能により、雲や茅葺き屋根のディテールがよく表現されるのです。
ライトを調整して一番動くのがブリリアンスですが、ライトを暗くしても明るくしてもブリリアンスは明るい方向にしか動きませんでした。全体の階調調整は他の項目に託してブリリアンスは明るい側のディテール表現に特化しているような印象です。
ブリリアンスの機能はどのような写真にも当てはまるものではないと思いますが、極端な露出不足とか露出オーバーがない今時のカメラで撮影された写真では中間の階調をどうするのかという調整と明るい部分のディテール表現を一つの操作で調整できる素晴らしい機能に思えます。
写真をシャープに見せる編集方法として、Wordでは「シャープネス」、フォトアプリでは「明瞭度」があります。Macの写真アプリにも「明瞭度」がありますが、iOSの写真アプリにはそれらしき項目はありません。
写真をシャープに表現するには明るい部分をシャープにすれば十分で、その役目はブリリアンスが担うと割り切っているようです。
実際に私が使っているAffinityPhotoやPhotoshopにも「明瞭度」という機能と伝統的な「アンシャープマスク」という機能があるのですが、どの程度シャープにするのかは写真のサイズや解像度、モニター表示か印刷かによっても係数が変わる難しいものなのです。
Windowsフォトの明瞭度編集
Windowsフォトの明瞭度では写真の外?にも反応するのか、明るい部分の上端が明るくなってしまいました。どう考えればいいのか理解できずにいます。
上の画像はフォトアプリで明瞭度のスライダーを右端まで動かしたもので、赤枠の部分を拡大しています。グラデーション自体にはバックはないのでその影響を受けない筈なのですが、上端が明るくなっています。わかるでしょうか?
編集結果
上の写真は前回の投稿でモノクロームにした古民家のオリジナルです。
Windowsフォトで「ライト」、「露出」、「コントラスト」など全ての項目を調整した写真です。
ライト項目を明るい方に動かしています。
他の項目は自動で動いてくれません。
コントラスト、露出、ハイライト、影の全ての項目を手で動かし、最後にライト項目で再び調整しています。
室内の明るさと同時に雲や茅葺き屋根のディテールなどを比べてみてください。iOSの方が簡単に調整できてしまいます。