しぶや木工塾木工展・追分宿2

しぶや木工塾木工展・追分宿2

追分宿の木工展に出品した作品

奥さんは手が遅く、木工にしろ陶芸にしろ一つの作品を作るのに時間がかかります。それに陶器の展覧会が近づくとそれに専念するために木工塾はお休みします。なので今年の木工展に出品したのは器3点と箸置きだけでした。

この器は私の故郷から送ってもらったイヌマキの木で作ってあります。木工塾では木を輪切りにして器を作ることの方が多く、このように縦割りにした木から器を作るのは初めてでした。木目が順目のところと逆目になるところが様々で随分苦労したみたいです。

写真は彫りが終わって塗装する直前の状態。

 

この写真は木固めエースという塗料で仕上げた状態です。
木固めエースはラッカーやウレタン塗料と違い、含浸性の強い樹脂でオイル仕上げよりもよく染み込み、樹脂として固まるので水に強く、丈夫な仕上がりなります。食品衛生法にも適合していて食器として安心して使えます。
難点は木に染み込んでいくので使用量が多く、コストが高くつくことと乾いてしまえば平気なのですが、作業中の臭いが強烈なことです。

この器は木固めエースを十分に染み込ませ表面の余分な塗料を拭き取り、乾燥したらもう一度木固めエースを染み込ませ拭き取るという2回塗りで仕上げてあります。生木の状態よりしっとり艶やかになっています。

 

ヒメツバキのボールです。木工塾のメンバーが小笠原に行った時にもらった木で作りました。輪切りにしたものを彫っています。職人さんがロクロで挽くものと違い、曲がりくねった木の形を活かしながら作っています。長い時間をかけて作っていますので、その間に木が乾燥してねじれたり、ヒビ割れができてしまいます。そのようなヒビ割れには「こくそ漆」を埋め込みます。「こくそ漆」というのは木をノコギリで挽いた時にでる木屑などをすり潰して漆と混ぜ、ペースト状にしたものです。よく乾燥させてから余分なところを削ります。
仕上げは拭き漆。

 

クリの木で作ったボールです。ヒメツバキのボールと同じようにヒビ割れは「こくそ漆」で埋めてあります。
仕上げは木の色合いを活かし、ヒビ割れに埋めた「こくそ漆」がくっきりするように木固めエースで仕上げてあります。ヒビ割れも木が持つ味わいの一つだと思っています。

 

綺麗に剥がれたケヤキの樹皮が手に入ったので、それで作った箸置きです。作ったというより、ノコギリで曳いて漆を塗っただけのものですが、ゴツゴツさ加減が素朴な味わいです。

 

写真に写っている2膳のお箸は、それぞれ別の漆作家の作品です。作家の展覧会で購入しました。上のお箸は「へぎ」と言ってノコギリで切ったり、カンナをかけたりせず、ナタのようなもので割いたものです。木目に剃って割られ、太さも違っています。見ていると楽しいお箸ですが、ちょっと持ちにくい、、、