陶仙房のこと

陶仙房のこと

陶仙房 須栗平

2017 奥さんは昨年の夏、陶仙房というカフェギャラリーで4回目の個展を開きました。今回はこのカフェギャラリーの話です。

陶仙房は2店あり、個展を開いたのは長野県茅野市の須栗平地区にあるお店です。陶仙房のご主人はこちらを「里の陶仙房」、もう1店は立科町にあり、白樺湖と女神湖の間、蓼科山の山麓にあるので「山の陶仙房」と言っています。

奥さんとご主人とは古くからの友人で山の陶仙房には良く遊びに行っています。

 

Photo by Tosenbo

陶仙房のご主人がこの民家を入手したのは10年ほど前、この写真は改装前の状態です。築70年ほどの農家の建物だったそうです。

 

 Photo by Tosenbo

この農家は宮大工として修行した人が建てたもので、軒を見上げるとちょっと古刹のようで壮観です。塗装は少し剥げていますが、ベンガラが塗られています。

柱と横木のほぞ穴には木の楔が打ち込まれていて、釘を使わない昔の工法で作られています。その朴訥な粗さと風雨にさられて浮き彫りなった木目が相まって迫力があります。分かりにくいですが柱を登る毛虫も可愛いです。

 

 Photo by Tosenbo中はだいぶ荒れていたようですが床板を剥がし根太を補強し断熱材を入れ、畳敷きだった床を板張りに直したそうです。他にもガラス戸の修復や厨房の改装など大変だったそうです。

 

 Photo by Tosenbo

土間は砕石を入れ、鉄平石で仕上げてあります。写真は鉄平石を入れる前の状態。奥の仕切りの向こうは馬屋だったと伺いました。ここが土間ギャラリーに改装されます。
古い椅子やテーブルなどの調度品など取り揃え、庭に木や草花を植えて環境を整えています。

ここまでの作業は工務店などに依頼したのではなく、ご主人とそのお仲間の協力でやり遂げたそうです。

 

外壁が塗り替えられ看板も取り付けられて、すっかり古民家カフェになりました。

 

玄関まわりには店内にある薪ストーブにくべるための薪が積まれています。

 

庭先からの眺めです。

 

これは搬入日に撮影したもので、お店はお休み。ガラス戸や土間の扉も閉まっていますが、庭の木々も青々としてよく晴れた気持ちの良い日でした。

 

土間ギャラリー、奥さんの個展風景です。奥の馬屋だったところには地元の木工作家さんの椅子が展示されていました。

 

店内にもギャラリーエリアがあり、地元のクラフト作家たちの作品が展示されています。

 

店内の薪ストーブには火が入っていました。

 

店内から庭を眺めると緑に囲まれ、風がゆっくりと流れてくつろいだ雰囲気の中でコーヒーをいただけます。
心を洗われる空間です。

 

高名な日本画家、東山魁夷画伯が描いた「緑響く」という絵、木々の姿が水面に映りこむ中、白馬が水辺を歩いています。この絵のモチーフになったのが御射鹿池(みしゃかいけ)という池なんだそうです。神に捧げるための鹿を射る場所だったそうです。

とても綺麗な池なんですが、自然にできたものではなく農業用水の溜め池として作られたものらしいんです。このあたりは標高も高く山からの水が冷たすぎるのでこの池に溜めておいて温めてから用水として使っていたそうです。

人工のものでも綺麗なものは綺麗です。この日は明け方まで雨が降っていて、昼になっても日差しはなく少しもやった中の御射鹿池はその水面にしっとりと木々の姿を映していました。

陶仙房・須栗平から車で15分ぐらいのところです。

 

御射鹿池の近くを流れる川にはちょっとした滝がありました。静かな御射鹿池と好対象です。この川には他にもいくつかの滝があるようです。

また、御射鹿池とは反対方向になりますが、車で5分ぐらいの所に茅野市尖石縄文考古館という博物館があります。「縄文のビーナス」、「仮面の女神」と呼ばれている国宝の土偶2体が展示されています。硬質な存在感と柔らかなオーラがあり私を魅了します。